子どもの頃は苦手だったブラックコーヒー。今ではおいしく飲めるのは、なぜでしょうか。
苦味の感じ方だけでなく、好みや、飲んでいるコーヒーの違いも考える手がかりになります。「大人になって味覚が鈍ったから」だけでは説明できません。
今も苦いと感じながら、その味を楽しんでいる場合もあるのです。
この記事を読むとわかること
- 苦味の強さと、好き嫌いの違い
- 年齢や飲む経験について研究からわかること
- 昔と今の好みを振り返る手がかり
大人になるとブラックコーヒーが飲めるようになるのはなぜ?
「飲めるようになった」にも、違いがあります。
以前ほど苦く感じなくなったのか、苦いまま好きになったのか。それとも、好みに合うコーヒーに出会ったのか。
まず、この三つを分けて考えてみましょう。
苦味の強さと、好き嫌いは別のこと

「かなり苦い。でも好き」と「苦味は弱いけれど、好みではない」は、どちらもあり得ます。
おいしく感じるようになったからといって、苦味を感じなくなったとは限りません。
今の一杯について「どのくらい苦いか」と「好きかどうか」を別々に考えると、自分の変化を整理しやすくなります。
子どもと大人で、苦味の感じ方は違う?
年齢による違いを示す研究はあります。ただし、どんな苦味でも、誰でも同じように変わるわけではありません。
特定の苦味物質では、年齢による違いが調べられている
2010年の研究では、子ども・青年・大人の計980人を対象に、PROPという物質の苦味を、どの濃さから感じるか調べました。
特定の遺伝的な型を持つグループでは、子どものほうが大人より薄い濃度でも苦味を感じました。一方、別の型では同様の年齢差は認められませんでした。
年齢による違いは、遺伝的な違いとも関係していたのです。
「味覚が鈍ったから」だけでは説明できない
この研究で使われたのは、コーヒーではありません。また、同じ人を成長に沿って追い、好みの変化を調べたものでもありません。
そのため、「大人になるとコーヒーの苦味を感じなくなる」とは言い切れません。苦味への感受性と、コーヒーが好きになることは分けて考える必要があります。
苦いままでも、おいしいと感じるのはなぜ?
飲んだ経験が、風味への評価に関わる可能性もあります。その手がかりとなるのが、カフェインを使った実験です。
カフェインと風味の好みを調べた研究
2005年の研究では、普段からカフェインを摂っている20人が、カフェイン入りと、カフェインを含まない風味付き飲料を繰り返し飲みました。
カフェイン入りでは、実験を重ねるにつれて風味を快く感じる評価が上がりました。研究者は、風味とカフェインを摂った後の作用との結び付きが、この変化を説明すると考えています。
味の好みを考えるときは、飲んだ後の経験にも目を向ける余地があるということです。
風味の評価が変わっても、必ず好きになるわけではない
ただし、実験後にどちらを選ぶかでは、参加者全体でカフェイン入りが好まれる結果にはなりませんでした。
風味を快く感じる評価が上がることと、そちらを選ぶことは別です。
少人数の実験でもあり、「飲み続ければ誰でもブラックを好きになる」という根拠にはできません。
変わったのは自分? 飲んでいるコーヒー?
昔と今で、飲んだ一杯そのものが違った可能性もあります。
昔と今で、商品・濃さ・飲み方は同じだった?
昔苦手だった一杯を、覚えているでしょうか。
- 同じ商品やお店のコーヒーだった?
- 濃さは同じくらいだった?
- 温かい・冷たいなど、飲み方は同じだった?
条件が違えば、「自分の感じ方が変わった」のか、「今のコーヒーが好みなのか」は区別できません。
今は香りや後味にも目が向いているかもしれない
今の一杯のどこが好きなのか、考えてみてください。
飲む前の香り、口に残る風味、後味のすっきりした印象。「苦い」以外にも、気に入っている部分はあるでしょうか。
昔は苦味ばかりが気になり、今はほかの部分も楽しんでいるのかもしれません。これは自分を振り返るための問いで、誰にでも起きる変化とは断定できません。
大人になってもブラックが苦手なのは、おかしい?
大人になったからといって、ブラックを好きになる必要はありません。
苦味の感じ方と好みには個人差がある
年齢の研究でも、すべての遺伝的な型で同じ違いが見られたわけではありませんでした。
ブラックを飲めることは、味覚の優劣を示すものではありません。ミルク入りが好きなら、それも自分の好みです。
興味が湧いたら、今の好みを確かめてみよう
まずは手元のコーヒーで、今の印象をメモしてみましょう。
苦味の強さと、好きかどうかを別々に記録する
| 記録すること | 記入例 |
|---|---|
| 苦味の強さ | 弱い・中くらい・強い |
| 香り・後味 | 香りが好き・すっきり・苦味が残る |
| 好きかどうか | 好き・どちらでもない・苦手 |
※特定の商品への評価ではなく、書き方の例です。
「苦味は強いけれど好き」と書ければ、苦味も含めて楽しんでいると気付けるかもしれません。このメモでわかるのは現在の好みで、過去の変化の原因までは判定できません。
器具を増やさず別の風味も試したい人には、パウダータイプのINICコーヒーという選択肢があります。公式のアソートは4種類各3本ですが、ミルク向け商品も含まれます。ブラック4種類の飲み比べではなく、豆や粉から抽出したい人には目的が異なります。
興味があれば、ショップで商品構成や飲み方を確認できます。
まとめ|苦味を感じることと、苦味を楽しむことは別
ブラックコーヒーを飲めるようになった理由は、年齢だけでは説明できません。苦味の感じ方、風味への好み、飲んだコーヒーの違いを分けて考える必要があります。
昔の自分と比べるなら、「苦くなくなった?」に加えて、「今は、この一杯の何が好き?」と考えてみてください。